思いやりを伝える言葉づかい

言葉は人間関係を豊かにするコミュニケーションの手段です。「出た口は引っ込まない」と言われますが、言葉は相手を傷つけ目に見えない暴力にもなります。相手のそのときの状況に適していて、しかも温かい言葉は人間関係を豊かにすることができます。

1)順序立てて要点をはっきりさせます。

(1)時には結論を最初に言うと効果的になることもあります。
(2)視覚に訴え一緒に見せたり、やってみたりしましょう。
(3)日常の身近なものに例えて話しましょう。
(4)具体的な聞き方をしましょう。  
「いかがですか」より「どこが痛いのですか」とか、「腰は痛みませんか」などと聞いてみましょう。

2)やさしい(優しい,易しい)言葉でわかりやすく話します。

(1)つい専門用語を使ってしまうことがありますが、相手には意味が伝わらないことがあります。特に子 供、老人にはわかりやすい言葉におきかえて話しましょう。
(2)相手の生活の中で使い慣れている言葉で、付け加えたり、言い換えをしてみましょう。
(3)方言を効果的に使用しましょう。あかぬけした標準語はかえって違和感をあたえることもあります。
(4)よく聞こえるよう、はっきりと適度の大きさ・速さで話しましょう。
(5)老人には声高にならず、口をきちんと開けて、ゆっくり話しましょう。
(6)敏感な相手には、カーテンの音も騒音になることがあるので穏やかに話しましょう。
(7)早口で多くの内容を話しても、決して多くは伝わりません。

3)相手の立場に立ってよく聞き、関心を示し、肯定的に話します。

(1)まず相手の気持ちを受け入れ、話を聞く努力をしましょう。
(2)なるべく途中で話の腰を折らないようにしましょう。
(3)イエス・バット法…相手の言っているその事実をまず認めます。そして次に自分の意見を述べます。
(4)相手にゆだねた話しかけをし、相手自身がその気になり決定をするようにしましょう。
(5)一方的に話しては相手を説得できません。受容体制は相手に言わせて作られます。
(6)否定的な言い方は相手を傷つけていることがあり、しかもそのことに気づかないものです。
(7)5つの禁句  
*「まだ子ども」で覚えてみましょう。     
 …またですか。     
…だめでしょう。     
…こまったわね。     
…どうするの。     
…もう治らないわよ。
(8)傾聴の原則  
・相手の言うことを整理・要約し、さらに感情をくみとります。
「今、あなたのおっしゃったことは、こういうことなのですね」   
・根気よく受け入れ、あいづちを効果的に活用します。  
* 「ハ行」を使ってみましょう。    
「ハア、そうでしょう、それで」    
「フーン、なるほど」    
「ヘーツ、それはおもしろい」    
「ホーツ、どうしました」

●同じ話でも初めてのようにして聞きます。これはプロとしての技量が要求されるところです。忍耐と受容の態度、そして演技力が求められます。酔った人が相手ではないのですから、愚者さんから全く同じことばかりを聞かされるのでは演技にも眼界があります。患者さんが自分の思いを広げられるような質問を加えるといいでしょう。
●5つの聞き方 
耳で聞く…語調、音調を逃がさない。 
目で聞く…観察を十分にする。 
口で聞く‥・上手に問いかけて引き出す。 
体で聞く・・・体全体で聞く。 
頭で聞く…分析的に聞く。

4)明るく話します。

(1)まず自分の気持ちを明るく保ちましょう。
(2)態度として胸をはり、自信を持ち、微笑んで話しましょう。

5)話題を選んで快い感じを与えるようにします。

(1)相手に関係のないこと、弱点・欠点になることは話さないようにしましょう。
(2)効果的に褒めましょう。 
・相手が気づいていないことを深めて褒めます。 
・視点、表現を変えて褒めてみます。 
・褒めながら方向を示します。
(3)話題には苦労するところです。話題の種類は親密度によって使い分けましょう。
* 「木戸に立てかけし衣食住」と覚えて少しずつ話題を広げてみましょう。そのためには、新聞やニュースの情報を仕入れておく必要がでてきます。
…気候・天候の話題   …知人・友人の話題
…道楽・趣味の話題   …家族の話題
…ニュースの話題     …健康の話題 
…旅の話題        ‥仕事の話題

衣食住…衣食住の話題

6)相手を尊重し、敬語を正しく使います。

(1)相手を尊重する気持ちをこめて、適度の敬語を使いましょう。度を超えた敬語の使用は、逆によそよそしくなった りすることがありますので注意しましょう。
(2)誠意ある心遣いが表れるように、相手との関わりの中で判断していきましょう。  「おじいちゃん」「おばあちゃん」ではなく、名前を呼びましょう。
(3)相手から「ありがとう」「お願いします」と言われているうちに、知らず知らずのうちに相手を見下ろす姿勢になって いることがあるので、自己点検をしてみましょう。
(4)目線はなるべく相手と同じ高さに近づけましょう。
(5)敬語の種類
  @丁寧語…相手に対して、言葉遣いを丁寧にした表現です。
 ・「お」「ご」をつけます。
  例:お手紙、お注射、お講義、ご意見
 ・「です」「でございます」「ます」をつける。
  例:看護婦です。処置宰でごぎいます。

  A尊敬語…相手の動作などに尊敬の気持ちをこめた表現です。
  ・「れる」「られる」をつけます。
  例:カルテに書かれる。診療が終わって帰られる。
  ・「お…になる」と表現します。 
  例:お茶をお飲みになる。ケーキをお食べになる。
  ・ことば自体が尊敬の意味を持っているものです。
  例:おっしゃる。召し上がる。いらっしゃる。
  B謙譲語…自分がへりくだって、相手に尊敬の気持ちを表す表現です。
  例:申す。いただく。うけたまわる。参る。
  C敬語を省略する場合は、前より後の表現に重点をおくとすっきりします。
  例:「電話をなさってから来てください」 → 「電話をしてからお越し下さい」
    「ご朝食は食べましたか」 → 「朝食はお済みですか」
  D身内のことを他人に話す場合は敬称をつけません。
   また、病院内の関係者のことを他人に話す場合は、
   その人の名前を「さん付け」で呼ぶ必要はありません。 
   例:お父さん父  お母さん
   成田看護部長さんが看護部長の成田が

7)日常においても自らが上手な話し方を心がけてみましょう。

(1)その場限りではなく、自分の身に付くよう努力しましょう。
(2)声に出して『基本用語』を話して練習してみましょう。
(3)日常の会話に『基本用語』を積極的に使用するよう心がけましょう。

   ◆『基本用語』の例◆ 
「どうなさいましたか」
「いかがでいらっしゃいますか」
「恐れ入ります」 
「少々お待ち下さい」
「大変お待たせいたしました」
「お大事になさって下さい」