第六回 在宅ケアネット渋川
  今回のテーマ 「老人の排尿障害の病態と管理」 について質問

Q:バルーンカテーテル挿入中、発熱などの症状がある膀胱炎を起こした場合、カテーテルを抜去し(その間は、間歇的導尿)、抗生剤を使用するべきと考えますが、膀胱ろうの場合は、どうすべきでしょうか?

A:

発熱を伴う膀胱炎はありません.高熱を伴っている場合は急性腎盂腎炎を併発していると考えるべきです.急性腎盂腎炎の大多数は,膀胱尿が腎盂に逆流することで発症します(膀胱尿管逆流症と言います).その場合に,カテーテルの交換はおこなってみても良いでしょうが,バルーンカテーテルを抜去することは間違いです.輸液などによって利尿をつけ,感受性のある抗生剤を投与すべきです.間欠的導尿は,導尿から導尿までの間,尿が膀胱に貯留するのですから膀胱尿管逆流を起こす可能性があり,カテーテル留置よりも危険です.膀胱瘻は経尿道的留置カテーテルと同様の意味合いがありますから,抜去すべきではありません.

Q:バルーンカテーテルは、必要最低限のできるだけ細いものを挿入すべきと言われますが、どうなのでしょうか?

A:

その通りです.通常は16Fr.程度がよいと思われます.これ以上細くなると,尿のドレーナージが悪くなったり,詰まりやすくなったりするため,カテーテルを留置している意味がなくなります.


Q:尿漏れが常に有り、陰嚢部にかゆみのある方には、どのように対処すればよいでしょうか? ご本人は、ティッシュをはさみ、適宜交換されているようです。

A:

溢流性尿失禁以外の失禁で,薬物療法が無効の症例では,吸湿性のよいナプキンやオムツを亀頭部にあてがっておくのがよいと思われます.陰茎を頭側に倒して(勃起状態),ナプキンやオムツをあてがい,ブリーフで固定するのも一案です.


Q:痴呆性老人の方でも、羞恥心があり、観察が難しく症状が良くつかめない方がいます。どうしたらよいでしょう?

A:

大変難しい問題ですが,先日お話しした内容を理解され,客観的に評価するしかないと思います.残尿がないかどうかを最低限チェックしてください.


Q:精神面との兼ね合いで、うまく対応するには、どうしたらよいでしょうか?

A:

質問の意味がよく理解できませんが,要はケース・バイ・ケースであると思います.言葉が喋れなくてもこちらの言うことは十分理解できる方もおられるでしょうし,痴呆が進んでどんなに手を尽くしてもわかってもらえない方も多数います.でも介護者がなぜ看護師や介護士になったかという初心を忘れずに接してあげることが何よりも大切であると思います.


Q:膀胱洗浄を家族が行うとのことで退院になった、カテーテル留置の患者さんがいます。生理的食塩水と注射器は、一般の薬局で家族が自費で買うように言われたようですが、このようなものは、処方されないのでしょうか?

A:
処方は無理だと思います.


Q:尿道留置カテーテルの固定方法

A:

下腹部もしくは大腿部に,まず幅広の絆創膏5cm程度を貼り付けます.その上(中央部)にカテーテルを置き,別の幅広絆創膏6-7cmで巻寿司を巻くようにカテーテルを巻き,下の絆創膏に固定します.上の絆創膏を赤城山のすそ野のように,べたっと貼り付けると,隙間が出来て外れやすくなります.


Q:膀胱洗浄は、生理的食塩水がよいと聞いたのですが、イソジンを入れる先生がいます。どちらがよいのでしょう?

A:

以前は膀胱洗浄にポリミキシンB液や,イソジン加生食を使用した時期があります.別に悪いわけではありませんが,生食だけで十分といわれています.難治性の膿尿が続くような場合には,試してみるのもよいと思いますが,常時する必要はないでしょう.


Q:排尿してもすぐにまた「おしっこがしたい」とポータブルにいきたがる。その内、出なくなる。それでも、「おしっこがしたい」という方がいます。泌尿器科を受診したが、異常なし。脳の問題と言うことですが、このような場合、何か治療法はないのでしょうか?

A:
泌尿器科を受診されているので,溢流性尿失禁は否定されているものと思います.となると抗コリン剤(ポラキス,バップフォー,プロバンサインなど)を試してみるのもよいでしょう.精神安定剤が有効な場合もあります.本当はおしっこがしたい訳ではないのに,体を動かしたり,面倒を見てもらえるなどの甘えが「おしっこがしたい」と訴えさせている場合もあるようです.乳幼児と同じです.