第四回 在宅ケアネット渋川
  今回のテーマ 「痴呆性高齢者の介護のあり方」 について質問

講演後の会場での分

Q:CTを積極的に撮影したほうがよい患者さんは、どのような方でしょう

A:
アルツハイマー以外の患者さんで、特に、急激な発症・急に悪化した・麻痺などの神経症状のある人などが対象になります。


Q:痴呆の方が心筋梗塞や外傷などの救急患者になった場合、どのように関わったらよろしいでしょうか?

A:
まず、救急病院でも、1〜2日ぐらいは、見ていただけると思いますので、その間に、痴呆病棟で身体障害のある患者さんを診てもらえるところを探す。


Q:せん妄状態の患者さんへの対応と早期によくしてあげるにはどうしたらよいか?

A:
ある程度予測される場合には、早期に精神科にコンサルトしていただく。
セレネースや抗うつ剤などで、軽いうちに対応する。
内科・外科の担当医とよく相談して、薬を中止してもらう。
出来るだけ副作用の少ない薬剤(リスパダール、チアプライドなど)を使用する。
せん妄なら、じっと待つことで改善するので、「慌てずにじっと待つこと」が、重要です。

講演後のアンケートの分

Q:介護・PT・OT・ST・看護師などができるBPSDの改善方法を具体的に教えてください

A:
基本的には、一般原則はありません。ケースバイケースです。BPSDの原因が心理的反応の要素が強ければ、本人が安心・納得できるようなメッセージを考えるのがよいでしょう。嘘も八百です。「帰らせてもらいます」「ヘルパーさん帰ってください」「人殺し助けて」など様々な場面があります。そのときに応じての頓知です。詳しくは拙著『本人と家族のための痴呆症介護百科』(永井書店)大阪市福島区福島8丁目21番15号を参照ください。


Q:いけないとは思うものの、感情的になって、怒鳴ったり・怒ってしまうことがあります。どうしたらいいでしょうか

A:
怒鳴ったり怒ったりしてしまう事はあるでしょう。介護者も人間です。怒鳴ってもいいのです、と思ってください。脳の病変には関係ありません。ただし怒っても結果は良くならない、ということを知りつつ怒る事です。我慢してはいけません。できれば皿を割ったり、相談できる人に愚痴を言ってみたらいかが。


Q:スライドで使用した内容がわかるような、お勧めの本はありますか

A:
前述、永井書店の本が良いと思います。


Q:痴呆に、水分摂取や便秘が関係が深いと聞きました。日中の水分800ccと聞きましたが、600ccがやっとです。どうしたらよいでしょう。

A:
痴呆に水分摂取や便秘との関係はありません。水600ccだけでも、食事が摂れていれば十分です。


Q:訪問で、意欲のない患者さんに何か意欲を持たせるには、どうしたらよいでしょう?

A:
背景の病気によって違いがあります。はたらきかけに少しでも応じることができるようなら意義はあります。しかし、意欲を持たせるという目標が空回りしないように。高齢になればなるほど、痴呆が進めば進むほど意欲低下は自然な形で生じます。意欲を上げる事だけに目が行かないようにしたいものです。意欲がなくても安心した生活が送れるというのもひとつのコンセプトです。


Q:痴呆症状の方で、拒否や理解が出来ない人の、CTや脳波の検査は、どうしたらよいでしょう?

A:
どうしても必要な場合のみ、長時間かかる脳波はいりませんが、CTは必須です。拒否の強い場合、調子がよく穏やかな時をねらうとか、数秒で撮れるX線CT装置もありますから、医師とご相談ください。


Q: 痴呆症状の方とのコミュニケーションのとり方

A:
相手の話に徹底して合わせることです。すなわち、自分も相手の痴呆症のレベルに落ちたと思ってみるとよいかもしれません。


Q:何を言っても、また、どんなケアをしても、拒否したり暴力をふるったりする方には、どのように対処したらよいでしょう?

A:
第1選択は抗精神病薬の使用。第2に、精神病状態をケアできる専門の治療病棟に一時的に診てもらう事です。


Q:グループホームの精神的な行動を取る方がいます。拘束はしていませんが正直手におえません。このような老人は、どのような場所が適切でしょうか?

A:
前問の答えと同様。ただしグループホーム入所時にきちんとした病歴と痴呆の程度、家での様子、BPSDの経過などが把握できていれば、もともと入所適用はなかったと思います。入所前にグループホーム適不適を判定することが大切です。


Q:腰痛のケアの為に通院している医院で症状を話したところ(猫がいる とか 知らない人がいる など)、レモナミン(?)を処方された。1日3回処方されているが、介護者の判断で飲むか飲まないか決めるように言われました。現場では、どのような注意が必要でしょう。

A:
幻視・幻覚の元が何かを調べる事が先決です。興奮や暴力恐怖感などを伴わなければ、とりあえず薬は控えたほうがいいかもしれません。風邪薬や抗ヒスタミン剤でも幻視・幻覚がでることがありますから、疑わしい薬や脳の障害がないかどうか調べてもらってください。


Q:痴呆を遅らせるために効果的な介護・援助などはありますでしょうか?

A:
明らかな証拠に基づいたデータはありません。生活の質を上げるという意味で、効果的な介護・援助はあるでしょう。


Q:脳の活性化訓練のドリルなどが市販されていますが、痴呆の進行を遅らせる効果は、実際どうなのでしょうか?

A:
同様に、長い目で見てドリル訓練が痴呆の進行を遅らせるとの証拠はありません。本人が自発的にするのは援助しましょう。強制的にやらせるのはいかがなものかと思います。


Q:せん妄から痴呆に移行することは多いのでしょうか?

A:
もともと痴呆のない人がせん妄になったとしても、痴呆になる事はありません。もともと軽度の痴呆があって、せん妄が加わるとそのままやや高度の痴呆に移行することはあります。


Q:痴呆とされている人の中に、高次脳機能障害ではないかと思われる人がいます。対応は、どうしたらよいでしょうか?

A:
高次脳機能障害では、脳の局所がやられ、他は保たれている事が多いのです。したがって、その障害に応じたリハビリテーションの処方が必要です。痴呆なのか、高次脳機能障害なのかは専門家に判断してもらいましょう。


Q:痴呆老人が、介護の限界になった場合の対応は、どうしたらよいか?

A:
様々な形があります。施設介護に手渡す場合が多いようです。


Q:「大声・暴力・暴言」など、トラブルに困っています。最近の副作用の少ない精神薬は、どのようなものがありますか?

A:
リスパダール・クエチアピン・オランザピンなどがあります。これらを非定形抗精神病薬といいます。


Q:痴呆性高齢者の身体疾患治療への同意について、ガイドライン策定や法整備などは予定されていますでしょうか?

A:
特にガイドラインはございません。


Q:せん妄に対する薬物療法は、適応外使用となりますが、特定療養費として認めてもらうような予定はないでしょうか?

A:
多分ないと思います。


Q:痴呆症状かな?と思ったら、まず、どこに行ったらよろしいでしょうか?

A:
老人を良く診ている精神科医の所か、神経内科を標榜している所でしょう。痴呆専門医は、日本老年精神医学会のホームページに認定リストがあります。インターネットで検索してみてください。