講演会の内容等についての質問に対する解答

1) 褥瘡のある患者さんの入浴について
医師によっては、許可してくれない場合があります。
デイ・サービスなどでの入浴は可能でしょうか。
入浴の仕方
   どの程度まで 湯舟かシャワーか
傷口への対応

(回答)
この点が最も意見の異なる点と思われます。自分の所では湯船に入れておりますが、心配でしたらシャワーで先ず始めるのが良いでしょう。これを始めると明らかに創が改善することに気づかれると思いますので、更に次の段階に進まれると良いでしょう。勿論、傷はその間、閉鎖する必要はありません。心配でしたら、最後に薄い消毒液で消毒すればよいと思われます。         

2) 褥瘡のある部分にどうしても圧力をかけなければならない場合(車椅子・食事時など)のタイムリミットは 

(回答)
褥瘡が発生するか否かは、単位面積あたりの荷重X時間によると考えておりますので、「どうしても圧力をかけなければいけないならば」荷重面を広く取るように注意して、30分くらい(途中、10毎に体の向きを変えるようにすることで)、問題ないと考えております。

3) 症例の相談です   手術を受けたが治らない。大豆粒大の創傷があり、奥はポケット状になっている。膿・臭気あり。イソジン消毒、生食で洗い流し、ユーパスタ塗布、ガーゼ保護。このままの対処しかないのでしょうか?MRSA(+3)が膿より検出。皮膚はブヨブヨしているが、色は薄い紫色。全身状態は悪くありません。

(回答)
「膿、臭気あり」とのことですので、壊死組織がポケットの深部に残っていると思われます。消毒、処置をいくら行っても改善は難しいと思われます。まず、創の開口部を拡げて、深部を露出してデブリドマン(壊死部を切除)を試みられたら如何でしょうか。時に骨組織(尾骨など)が壊死に陥っている場合、悪臭が強いと思われます。

4) 強酸性水などの機能水を使う場合、洗浄の効力は

(回答)
数年前でしょうか、強酸性水の効用が注目されました。私の施設でも使用しましたが、準備に費用がかかることでやらなくなりました。効力については適当な資料も持っておりませんが、良いと思います。オキシドールの濃度の薄い物と考えたら如何でしょうか。

5) ゲーベンクリームは、毎日洗浄とのこと。その他の薬剤は毎日処置はしなくても良いのか

(回答)
ゲーベンクリームでは毎日、前回の使用したものを落とすようになっております。また、ご存知ように、創部がどろどろになって、流れて周囲を汚染しますので、毎日処置せざるを得ません。薬剤により毎日処置するかどうかより、結局、創の程度によると思います。必要であれば、朝夕、一日2回処置することもあります。

6) オキシドールの洗浄の濃度は 

(回答)
私がオキシドールを使う時は、講演の中で話しましたように、かなり感染が重度のケースですので、原液のまま使用しております。

7) フイルム剤の使い方
  どんな状態には、どんなフィルム剤がいのか

(回答)
私自身はフィルム材を使用しておりません。この製品の使用は創部をwetに保って、上皮化に良い環境を作ることが目的ですので、先ず、感染が無いことが大前提になると考えております。感染があれば、逆に悪化すると思われます。

8) オキシドールで消毒する意義がよくわからない
  生食やイソジンなどでの十分な洗浄で充分だと思われるが

(回答)
この点は非常に重要ですので、講演の中で強調したつもりなのですが。  褥瘡で深部に感染が広がり、膿が貯留しているようなケースでは、殆どが閉鎖された「嫌気性菌」が生じております。オキシドールは有機物に触れると「酸素」を発生しますので、このような菌にも効果があると考えております。イソジンも問題点は細胞毒性です。感染が重度の場合は問題ありませんが、創部が清浄化しましたら切り替える必要があると考えます。

9) 生食で洗った後は、きちんと乾かすのですか?

(回答)
乾かす必要はありません。そのまま閉鎖してよいと思います。

10) ポケットなどの褥瘡に対してゲーベンクリームなど薬剤の適応量は

(回答)
創を閉鎖する程度の量でよいと思います。

11) 褥瘡の管理に室内温度は関係するのか

(回答)
室内温度については考えたことはありません。患者さんが快適な温度であれが良いと考えます。

12) イソジンゲルを使用していてよくならない、感染徴候の強い場合、アクリノールを使用しているが、これはいかがなものか

(回答)
アクリノールの長所として、広範囲の細菌に対して殺菌作用があると言われておりますので、よい選択と思われます。最大の欠点は黄色く着衣、寝具が変色して落ちないことと思われます。

13) 洗浄に生食ではなく、水道水(微温湯)を使用しているが、いかがなものか

(回答)
全く問題ないと考えております。